病室で、1人考える。
あの夢の終わりから、じわじわと遡って。
私は今、バックトラッキングと言う方法を使って、この間見た夢を思い出そうとしている。
まず、最後に誰かの声が頭の中に響いて…
そこから…
…

優希
「………………ダメだな、全然思い出せない…。」
やはり、思いついたその時その場で試すのが良かったんだろうな、と、今更遅い反省をしながら。けれど、なんだか2度も同じ空間の夢を見たことは思い出せた。
…いやに不思議な感覚だ。これまでのように人は変わるのだろうが、これからもこんなことがあるような気がしてならない。
そうして、ふと隣に昨日入ってきた患者に目をやる。
看護師によると、バカなことをして大怪我をしたらしい。
見たところ女性だが…大怪我をしてるなら、なんで個室のICUなんかじゃなくて、相部屋の、普通の病室なんだろうか。
心電図は同じように波形を刻み続け、心音を鳴らす機械の無機質な電子音だけが病室に響いている。
バカなこと…。まあ、こいつも、どうせ父と同じようなことをしたんだろうか、なんて、考えることのなくなった私はふざけたことを考えていると、看護師が部屋に入ってきた。
何やら、慌ただしくしていたが…すぐに落ち着いて、数人で包帯を変え始めた。
患者は相変わらず眠ったままだ。
けれども、包帯を替えている間、看護師が結構大きな声で話していたため、少し看護師の話を盗み聞きしてしまった。あんまりよくはないんだが…内容はこうだ。
「そういや、この人、人間じゃないんですって〜」
「シッ!絶対外で言っちゃ行けませんよ!」
「え〜なんでですかぁ?」
「国から
消されるわよ。」
「「ひぃっ」」
看護師は3人。1人、ベテランらしい人がいて、あとの2人は若手。
「にしても、なんでこの病室なんでしょう?人間じゃなくてもフツーにヤバくないですか?」
「確かに…こんな怪我してるのに…」
「明日になりゃわかるさ。黙って包帯替えな。」
「「はぁ〜い…」」
そんなことを話しながら、看護師たちは包帯を替え終えて、出て行った。

優希
「…明日になりゃわかるって…死なせるつもりなのか…?」
まさか私に全責任背負わせて殺そうとしてんじゃないだろうな…なんて考えつつ…

優希
「…ま、それはそれでいっか。…私ももう、生きる意味なんて無いし…」
そうぽつりと呟いて、思い出したかのように時計を見た。
…もうこんな時間だ。
消灯時間が近づいた病室で、私はそのままベッドに倒れ込むのだった。