きつく瞼を閉じているのに、眩しくて、目が痛い。
それがなぜかを確かめるため、私は恐る恐る目を開けた。

ひとみん
「________!!」
目に馴染んだ白い空間。
寂しげに置かれている椅子。
そして、無造作に地面に座っている私。
眼前に広がる世界に、私は明らかに動揺を隠せないでいた。
おかしい、私はさっきまで普通に仕事をしていたはずなのに。
それに…、……私は…この場所を知っている。
動揺を隠せないまま、立ち上がって。私は一先ず状況を整理するために、歩いていって目の前の椅子に座った。すると。

ひとみん
「うあっ?!」
目の前に、同じく椅子に座った少年が現れた。

ひとみん
「びっくりしたじゃねえか!」
突然の出来事にこちらが動揺していても、彼はそんなこと知らぬと言わんばかりに、楽しそうに話す。質問する。自分の考えを述べる。
それはまるで、彼の中で決まった旋律を演奏するように。
そうして、突然問いかけられた質問。大人になるって、何か。

ひとみん
「あ、あたしにそれ聞く〜…?どう考えてもあたしまともじゃない方の大人なんだけど……。いいの…?」
さらに動揺しながらも、あたしなんかにこんなこと答える資格なんてない。なんて、一瞬申し訳なくなったが…まあ、精一杯説明してみようと思う。

ひとみん
「ま〜、そうだな…勉強とかいっぱい頑張って…そこから働き方を覚えて…自分で生活ができるようになったらそれはもう立派な大人でいいんじゃないか?……いや…」
ここまで言って、私がご飯を出さないとろくに自分の世話もできないやつを思い出した。
少し、髪色と笑顔なんかが、目の前の彼と重なった気がした。
いや、ほんと…あんなのでも一応…大人なんだもんなあ…じゃあこの理論は間違ってるかもしれんなあ…なんて、私は改めて考えてみようと、もう一度頭の中で考えを巡らせてみる。

ひとみん
「んーと…なんて言えば良いんだろ。…そうだなあ…」
私は、親元を離れて、1人で暮らして。
自分で料理を作ったり、仕入れてきて食べたり。
自分の身の回りの世話、料理、掃除や洗濯、お風呂なんかもそう。
そうして、働いて、生活のためのお金を手に入れられて…。
そこで初めて、人は一人前の大人になったと言えるのではないか、そんなところだと思っていた。
けれど、……あの2人は違った気がする。
こんな固定概念に囚われないで、のびのびしてて、自由だった2人。
そこまで思い出して、ようやく一つの答えが私の頭に浮かんできた。

ひとみん
「…うん、そうだな。まあ、…とにかく、1日をたくさん過ごしていく…。その1日の量が、大人になるに相応しい数になったら、そこからもう大人、って呼ばれるのかもしれんな。」
まあ、あの2人があんなにも自由だったのは…半分、あたしが家事なんかのやること全部やっちゃってた、って言うのはあるが。
けれど、多分そうじゃなくても、あの2人は常に自由に家の中で走り回っていたことも、想像に難くない。
彼らは、毎日子供みたいにはしゃいで。ご飯まだあ?なんて声が聞こえたり、あれ買ってよお〜、なんて声もした。

ひとみん
「歳の数を重ねるってことだよ。日々を経験して、知らないことを知って…日々を過ごした数が相応しい数になったら、その日からもう大人って言われる。…ま、ひでえよな。」
今はもう、その呼び声すらも懐かしい。
寝て、また次の日起きたら。おはよお!なんて声が聞こえることを期待してしまう私がいるのが、本当に嫌いだ。

ひとみん
「…まあでも…大人になるってそんなもんだ。子供のままでいたくても、いられなくなってしまうのも、大人ってわけさ…。…さて、あたしから出せる答えは、こんなもんだよ。……続きがあるならどうぞ。」
そうして私は、いつまでも続きそうな思い出に蓋をして。
この話の主導権を、また彼に返すのだった。