Record

記録者: 御剣 陽介 (ENo. 20)
Version: 2 | 確定日時: 2025-12-14 04:00:00

「陽介」

俺が生まれた瞬間、父ちゃんは店の屋上で昇る朝日を真正面から見て、俺を抱き上げて叫んだらしい。

「この子は、みんなを照らす太陽みたいな男になる! だから、陽の字を入れて、陽介だ!!」

「俺の商売も、家族も、この街も、全部照らせるような、まぶしい男に育ててやる!!」

……でも、俺は太陽とは真逆だった。

「うるさい」「暑苦しい」「眩しすぎ」って言われて、みんなの輪からちょっと浮いてた。

父ちゃんの願いは、
俺には重すぎた。

でも、あの日。

砂場で俺の城が崩れたとき、
俺は初めて、太陽じゃなくて、
「暗闇」にいた。

涙が止まらなくて、
鼻水垂らして、
「もうやだ……」って嗚咽してた。

そしたら、
黙って隣に座った駿が、
俺のバケツ持って水汲みに行ってくれて、
一緒に城を直してくれた。

完成したとき、
駿が小さく笑って、
「陽介がいると、全部が楽しいよ」

って言った。

その瞬間、
俺の胸の奥に、
本物の太陽が生まれた。

父ちゃんが願った「みんなを照らす太陽」は、
俺一人じゃなれなかった。

でも、駿がいてくれたから、
俺は太陽になれた。

それから俺は、
「陽介」って呼ばれるたびに、
あの日の駿の笑顔を思い出す。

俺が馬鹿やってみんなが笑ってくれると

全部、全部、
俺の「陽」が、ちゃんと届いてる証拠なんだって実感する。

だから俺は、
どんなに怒られても、
どんなに「うるさい」って言われても、
声を出さないわけにはいかない。

太陽は、
黙ってたら意味がないから。

俺は、太陽なんだから