Chapter02-Fin

記録者: 夏揺 響 (ENo. 56)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-10 04:00:00

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「そっかぁ……そういう音を持ってるんだ、君って」

足をぶらぶら揺らし、胸元の笛が軽く揺れる。
その小さな揺れは、まだ奏でられていない何かを予感させる。

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「ね、楽しかったよ。君の音、ぜんぶ新鮮だった。
 僕の知らないリズムで、知らない色で響いてて……」

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「──君の曲、きっとまだ続くよ。
 途中で休んだり、音を外したり、急に転調したりしてもさ。
 それでも“君だけの曲”になるんだ」

ゆるりともたげた手を、ひとさし指を
あなたに向けてはくすりと笑う。

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「だからね、止まらないで。
 君が止まったら、その続きの音、誰も聴けなくなっちゃうからさ」


そうして少年は揺らしていた足を床に着いて、
ひょっと立ち上がった──ように見えた。


──向かいの椅子には誰もいない。
目に鮮やかな少年の色彩は、もうどこにも認める事は出来なかった。

……あなたも意識して目を閉じれば、あるべきところに戻れるだろう。


ここトイカケはありません。回想や感想を自由に記入したりしなかったりしてください。
Answer
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「人に対し曲を視る者は、初めて見たな」

人影消えた向かいの椅子を眺め、
そう一人呟く。
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「……ああ。止まらないさ、俺は」

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「戦場に音を奏で続けるのもまた、
 蝉という種、俺の生き様だからな」

対する者に刃を。
黄昏に蝉時雨を。
きっと、己の紡ぐ音、己の曲は凱歌となる。
ふっと笑って、目を閉じた。

また、忙しい日々が始まるのを感じながら。