Chapter03-05

記録者: ミヒャエル・エルドガード (ENo. 99)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-10 04:00:00

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あなたの言葉に黙って頷きながら、
思考を深めるように髪を弄る手の動きは止まっていた。

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「……価値、なんて偉そうな言葉を使ったけどさ」

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「結局、自分がその生き方で満足できるかどうか
 みたいな話、な気もしてくるね」

短く言葉を切りながら、息を吐く。
沈黙は、ただ心の中を整理する時間のようだった。

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どうすれば、満足って思えるんだろうね

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「もちろん、簡単に“ああ、これで満足!”って思えれば楽なんだけど……
 現実はさ、どんどん次が出てくるし、思い描く理想と現実の間に隙間があって……」

小さく肩をすくめ、思い出したかのようにまた手が髪を弄った。

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もうこれでいいって思える瞬間……、
 クロは、経験ある?……どうすれば自分が満足できるかって、分かる?」


──あなたにとって“満足”とは何だと思いますか?

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「……“満足”って多分、別にゴールじゃないんだよね」

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「結局“ああ、今ここで自分のやりたいことできてるな”って瞬間のこと……なのかも。
 誰かに褒められたり、認められたりすることだけじゃなくて、
 ただ自分の心が納得してるっていうか」

髪を指先で絡めた手をそっと下ろし、視線を落とす。

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「だから、ウチにとっての満足って、“ずっと続くもの”じゃなくて、
 小さくて短いけど、自分の心にちょっと灯がともる瞬間のこと……かな、と思う。
 其れを積み重ねられる可能性が高い行為を、価値、と呼べるのかもなぁ……」

軽く息をつき、椅子にもたれて肩の力を抜く。
ふ、と視線があなたに戻り、問いかけるように目が揺れる。

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「クロはさ……そんな瞬間、ある?
 自分の中で、これでいいって思える瞬間って、どうやったら掴めると思う?」

Answer

とても、難しいトイカケだと思った。
『これでいい』と思う為には相手の納得が必要だ。
彼女、彼女らの大切なものを奪った自分は加害者であり。
加害者がこれでいいと思えても、被害者である相手が良くなければ。
それは単なる、現実逃避に過ぎない。
"ゴールだと思い込んでいる"に、過ぎない。

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「…」

だから、狡い事に自分は。

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「私

こう答えた。

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「どうやったらそれを掴めるか、これから模索するわ。」

そうとしか、答えられなかった。





私は【贖罪】の為の道具ではない。
私は【成長】の為の道具である。