
「ふふ、お役に立てているならなにより」
にこやかに微笑み、つられて頭を下げるだろう。
何かを確認するアルヴェンの様子を見て微笑み、「そう」と一言だけ相槌を打つ。
彼が続けた問に、再び視線を宙に彷徨わせる。

「この部屋が存在する目的、ねぇ。この部屋が何かもわからないから、想像も及ばないわ」
そう答えたのを聞いたからか、アルヴェンの推測に耳を傾けるだろう。ふむふむと相槌をうって、再び考える。

「誰かが、この部屋に来た私たちの様子を見るために作った……なるほど、アルヴェンにはそう感じられるのね」

「そうね、私も近い魔法を少し使うから……そういう意図も少し想像できるわね」
同じように夕日色の瞳を好奇心に輝かせ、独りごちるように呟いた。

「何か考えをまとめたい時、こういうそれ以外を考えない空間というのは有効ね。誰かにそれを問うて貰うというのも」
相手の思考に染まってしまう危険もあるけれど、とポツリと付け加えて話がそれると首を横に振り、もとに戻す。

「この部屋を作った人がいたとしたら、その目的は私たちがどんな人物か知りたい、んじゃないかしら。反応が見たい、と思うアルヴェンの意見と同じね。知能や性格診断だとしたら、何を測っているのかわからないから」

「この部屋で出来るのは本当に話すことだけのようだから。それすら曖昧で、独り言をずっと言っているようでもあるもの。」
ふぅ、と物憂げに息をつき、そのため息を包んでアルヴェンへ送るように腕で弧を描く。
その仕草が彼に届いているのかいないのか、夕日色の瞳はじっと彼に注がれていただろう。