
「そっかぁ……そういう音を持ってるんだ、君って」
足をぶらぶら揺らし、胸元の笛が軽く揺れる。
その小さな揺れは、まだ奏でられていない何かを予感させる。

「ね、楽しかったよ。君の音、ぜんぶ新鮮だった。
僕の知らないリズムで、知らない色で響いてて……」

「──君の曲、きっとまだ続くよ。
途中で休んだり、音を外したり、急に転調したりしてもさ。
それでも“君だけの曲”になるんだ」
ゆるりともたげた手を、ひとさし指を
あなたに向けてはくすりと笑う。

「だからね、止まらないで。
君が止まったら、その続きの音、誰も聴けなくなっちゃうからさ」
そうして少年は揺らしていた足を床に着いて、
ひょっと立ち上がった──ように見えた。
──向かいの椅子には誰もいない。
目に鮮やかな少年の色彩は、もうどこにも認める事は出来なかった。
……あなたも意識して目を閉じれば、あるべきところに戻れるだろう。
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