Chapter01-05

記録者: 真城 美琴 (ENo. 110)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-07 04:00:00

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  ──カシャ


シャッターの音の後、あなたを向いていたレンズがふと向きを変える。
何か未知のことを認識した様子で、その後にまたあなたにひとみが向いた。

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「観察対象、最終質問を提示します」


この対話の終端が近いようだ。
不思議な白い部屋での対話は、何の説明もなく始まり、そして終わるらしい。

奇妙な観察者は感慨もなく告げ、一拍。

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──あなたは、何をもって“自らの存在に価値がある”と判断しますか?


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「それは役割でも、使命でも、功績でも構いません。
 また、価値は不要であるとする見解も有益な観測結果となります。

 あなた自身が、どの基準で己を“肯定”し、
 何をもって“無価値”とせずにいられるのか。

 その価値に他者を如何にして組み込んでいるのか、
 その内的構造を、開示してください」


──あなたは自らに〝どのような価値〟があると認識していますか?

 
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「当機は、あなたの答えを推論する事はできても──
 代弁する事はできません
 故に此度は、 あなた自身の言葉で語られることを要求します」
Answer
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「誰かの役に立ったり、
 それで誰かが喜んでくれたりすること……かな」

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「なんというか……
 そこに自分の居場所があると思えるので」

そうやって、誰かのために走ってきた。
自分を犠牲にしゆずりすぎだと言われるほどに。


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「ああ、それと」

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「私、今年で二十歳はたちになったんですけど、
 母と祖父が精一杯、盛大に祝ってくれました。
 ここまで無事に育ってくれてありがとう、と」

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「私を大切に思う人にとっては、
 私は生きているだけで価値がある。
 それも、ちゃんと覚えておきたいです」

ようやく、立ち止まって、拾い上げてもいいと思えた。