Chapter01-Fin

記録者: メルエミリー・カヤナイティア (ENo. 79)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-27 04:00:00

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「……回答を確認しました」


観察者は淡々と処理を続けているように見えるが、
どこかそれは“耳を傾けている”仕草にも似ていた。

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「当機の観測は、これにて終了します。
 記録は保存され、分析は後続機へ引き継がれます」


レンズがわずかに光を収束させ、あなたを見据える。
無機質なガラスに感情は映らない、
ただそれは淡々と観測を続ける機械でしかない。ずっと。

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「あなたが何者であるか──その定義は、あなた自身が決めるものです。
 当機はただ、それを観測したという事実のみを残します」


──そうして白い部屋がじんわりと、輪郭を失っていく。
まるで夢から醒めるように。


──そう。きっとこれは夢だった。


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「……観察対象。これにて接続を断ちます」



ガラス玉のような声が、虚空の中で響いていた。


ここトイカケはありません。回想や感想を自由に記入したりしなかったりしてください。
Answer
──そう。きっとこれは夢だった。



相手の気配が、空間全体が、じんわりと解けていくような感覚。
どうやら、此のは、そろそろ終わりを告げるらしい。

どうして、己が此処に迷い込んだのか。
何となくだけれど、其の疑問は、些事の様な気が、した。

目覚めれば、また現状通りの現実が在る。
自分と使い魔達以外、碌に生物が居ない廃都市で、暇潰しと手慰みの果樹園整備と養蜂の日々。
寒くなれば、暖かくなるまで、実質冬眠の日々。
美しく煌めく盈月の夜、聲無き歌と魔力の花を咲かせる日々。
儚く沈む虧月の夜、一時の夢すら見ない程に深く睡る日々。

自身が朽ちる、其の時まで。
きっと、何も変わらない日々。

でも、其れで良い。
きっと、其れが善い・・・・・

もしかしたら、私達を探している御人好し・・・・が居るかもしれない、けれど。
今のまま終われたら、其れが汎ゆる世界にとって、最善だろうから。

だから。


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メルエミリー
「…………」

亜人少女は、何も語らず。
夢から目覚めるのを待って。

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メルエミリー
「……〔お疲れ様でした〕

一言だけ、そう告げて。



――此処には、もう。
  誰も、居ない。