Chapter01-02

記録者: 白金の鴉 (ENo. 41)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-07 04:00:00

クリックで開閉
icon
「……」

あなたの回答を──若しくは無回答を聞き、
ソレは少しじっとあなたを見詰めていた。


  ──カシャ


それから、また先にあった音が一つ。
撮ったものを確認するような間の後、深々と頭が下がった。

icon
「観測結果が不明瞭です。
 当機からはあなたの言葉を完全に受け取る事は難しいようです」

どうも椅子の〝こちら側〟と〝あちら側〟では具合が違うようだ。
あなたの言を確実に受け取れているかは、あちらもこちらも分かり得ないだろう。

icon
「では観察対象、続けましょう」


されどコレにとっては断片でも構わないのか、きゅり、とまたレンズがあなたを向く。


icon
「環境データの取得。あなたの属する世界を説明してください」

icon
「あなたの世界では、“普通”とはどのような状態を指しますか?」


──あなたは、異世界の存在にあなたの世界のどのように説明しますか?


sample

icon
「当機の世界にはこれと言って特徴があるとは考えられません」

icon
「当機は異世界に対する情報を持ちません。
 よって、何が特色であるかを判断するには情報が不足しています」

──基準や比較対象が無ければ、世界の比較とは難しいものだろう。
自らの世界に当たり前に存在しているものが、他の世界では存在しない可能性すらある。
自らの視野では存在しないものが、世界の中には存在している可能性だってある。

つまりは、この質問は不毛なものではある。
……比較対象が無い限りは。


icon
「──あなたに回答していただくためには、
 当機の世界を説明せねばなりません。
 よって当機は、平均的な一般家庭の生活環境についてご説明致します」


もしあなたが回答に窮しているのであれば、
オブザーバーの言うものを参考に、比較して述べると良いのだろう。

icon
「朝9時に出社する方は、平均して朝7:22に起床致します。
 家事仕事用の自立稼働人形が6時には稼働を開始しており、
 起床し着衣を着替えた後には朝食を摂取する事が可能となります。
 起床から出勤までには平均28分31秒の時間が経過しています」

icon
「出勤には電車やバス──公共の車両を利用する方、
 運搬用人形を利用する方ほか、徒歩で出勤する方など様々です」

icon
「……コンプライアンスに基づき、出勤後については
 当機から申し上げる事は出来かねます」


icon
「7日を一週間という単位にし、
 うちの4日が平日、うちの3日を休日と制定されております。
 居住する地は球体の惑星、衛星は現在1つ観測されております。
 衛星及び他の惑星の生活様式については当機のデータベースには御座いません」



icon
「……以上の内容は参考にする事は可能ですか?」



……とはいえ、此れをなぞらえる必要も無い。
あなたの自由に回答してよいだろう。

Answer
icon
白金の鴉
「おい、言ったよな。
 変な行動はするなと」


icon
白金の鴉
「……は~~、
 これだから機械種は融通が効かないんだ…」


はぁ、と深いため息を吐いた後。
諦めたように口を開く。

icon
白金の鴉
「さて。世界を説明しろとの事だけど。
 簡単だ。
 『魔王と勇者のいる世界』だ」

icon
白金の鴉
「さらに言うならば、
 所謂剣と魔法が主体の世界で、
 神やら妖精やらの超常現象が当たり前の世界で
 科学は魔法の影響力が強く殆ど日の目が当たらない」

icon
白金の鴉
「その為、不平等は当たり前。
 それが普通であり、奇跡はあるものだと信じられている」

icon
白金の鴉
「ああ、後はそうだな。
 この世界は主に4つの神の宗教が存在し、
 その信念に基づいて生きている連中が多いのも特徴だな」

icon
白金の鴉
「春、夏、秋、冬の神がそれぞれ存在し、
 月の概念が春の1月、2月、3月、4月…、
 夏の月…、といったように12巡、とも呼ばれている月日にもなっている。
 週は月、火、水、木、風、土、日の7週だったかな」


icon
白金の鴉
「さて、その宗教だけれど。
 それぞれの理念が、
 春は命の芽吹きを重んじて、生命をはぐくむ事に力を入れ。
 夏は燃え盛る人生にするための過程を大事にし。
 秋は人生の実りという終わりをよくするための生き方を重んじ。
 冬はそれぞれの終わり方を重んじる、という宗教だけれども」

icon
白金の鴉
「……一番厄介なのは冬の神の宗教派の連中なんだよな。
 よく言えばどんな終わり方も寛容的ではあるが、
 悪く言えば本人がそれを是とするなら、
 望まない終わり方に巻き込まれることもある」

icon
白金の鴉
「それ故、俺の軍でも特に要注意な宗派として
 気を付けてたりはするかな」


途中から話が少しだけ早くなっていたが。
ひとしきり喋り終えれば、ふ、と一呼吸を置いて
目の前の人物へと視線を向ける。

icon
白金の鴉
「……さて、こんな所かな。
 さ、どうせ次の回答もあるんでしょ。
 早く言いなよ」


そういって、
次の返答を待つだろうか。