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記録者: シャルティオ (ENo. 14)
Version: 1 | 確定日時: 2025-11-27 04:00:00

【これまで、これから】

  ◇

 シャルティオ・アンディルーヴは
 “出来損ない”の王子である。
 彼の持つ猛毒の魔法は、彼に数多の試練を与えた。

 そもそも、彼の所属する魔導王国は。

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「……属性魔法が使えない人間に、
 一切の価値を認めない王国だ」

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「私の持つ毒の魔法は、
 “一般的な属性魔法”ではないんだとよ」

 シャルティオ・アンディルーヴは、
 そんな王国の王子として生まれた。
 生まれて、しまった。
 だから。

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「……出来損ない扱いは当たり前。
 私は属性魔法が使えないから、
 どんな仕打ちを受けても文句は言えない」

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「…………もう、過ぎた話だが」

 偉大なる女王である母親に認められたくて、
 血を吐くような努力を重ねたこともあった。
 貴方にこそ愛されたかった、の想いは、
 されど報われることなく全てが終わった。
 “愛されたい”のその想いは、痛みとして残ったんだ。

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「………………」


  ◇

 流れる猛毒の血は、シャルティオ自身をも傷付けた。
 昔にあった魔力の暴走。
 それによって少年の左眼と左脚は腐り落ち、
 危うく死ぬところだった。

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「……兄さんとキィルが居なかったら、
 私はあの日にとうに
 冥界に消えていたんだろう、ね」

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「私の家は家族すらも敵だったけれど……
 2番目の兄さんだけは、
 フェンドリーゼ──フェン兄さんだけは、
 唯一、最初から最後まで味方だったんだ」

 ずっと気に掛けてくれた兄がいた。
 こんな出来損ないの自分を、
 『風の気紛れ!』で助けてくれた、兄が。

 その兄は戦争に乗じて母王を殺し大罪人となり、
 シャルティオを自由にしてから、
 国を永久追放されて今はもう何処へやら。

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「私は母上に
 愛されたいと強く願っていたから…………。
 母上が私を虐げていてもね、
 母上のことを大切に思っていて」

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「そんな母上を殺して、
 “私が母上に愛される機会”を
 永遠に奪った兄さんを…………
 あの頃は本気で憎悪していたんだ」

 それが、あの兄なりの愛とは知らずに。

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「……ありがとう、兄さん。
 貴方のお陰で僕は、
 今も元気にやっているよ」

 優しい風を感じるたびに、思い出す。


 そんな兄に託されて、
 出来損ないの王子様は王になった。
 兄の従者であった魔法破壊のキィランは、
 兄の最後の命令によって
 シャルティオの従者へと立場を変えた。

 民は未だ、この王を認めない。
 けれどシャルティオの必死の行動は、
 少しずつ民の心を動かしている、はずだ。

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「私はこの魔導王国を変えてみせる。
 千年の栄華の下で、
 非魔法民たちが虐げられる、この国を」

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「兄さんもキィルも、
 私が私だからこそ、王にしたんだ。
 虐げられる立場にあった私は、
 その痛みがよく分かる」

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「──必ず、必ず、応えてみせる」

 我が名は革命王シャルティオ・アンディルーヴ。
 魔導王国に変革をもたらす者だ!

 過去に二度、
 闘技世界フラウィウスへ迷い込んだのはまた別の話。
 そこで少年は素敵な友達と“家族”を得て、
 前へ進む為の翼を手にした。

 そんな色々を経て、今に至るのだ。