Chapter01-05

記録者: 立花 依綴 (ENo. 214)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-07 04:00:00

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  ──カシャ


シャッターの音の後、あなたを向いていたレンズがふと向きを変える。
何か未知のことを認識した様子で、その後にまたあなたにひとみが向いた。

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「観察対象、最終質問を提示します」


この対話の終端が近いようだ。
不思議な白い部屋での対話は、何の説明もなく始まり、そして終わるらしい。

奇妙な観察者は感慨もなく告げ、一拍。

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──あなたは、何をもって“自らの存在に価値がある”と判断しますか?


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「それは役割でも、使命でも、功績でも構いません。
 また、価値は不要であるとする見解も有益な観測結果となります。

 あなた自身が、どの基準で己を“肯定”し、
 何をもって“無価値”とせずにいられるのか。

 その価値に他者を如何にして組み込んでいるのか、
 その内的構造を、開示してください」


──あなたは自らに〝どのような価値〟があると認識していますか?

 
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「当機は、あなたの答えを推論する事はできても──
 代弁する事はできません
 故に此度は、 あなた自身の言葉で語られることを要求します」
Answer
最後の質問なのか、と思った後に投げかけられた質問につい笑みがこぼれた。
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「私は私という人間のことが嫌いなわけではない。とはいえ、好きだと胸を張れるほど愛することも出来ない。何故ならどうしても好きになれないところばかりが目についてしまうから」

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「だけど、そんなところも含めて私という人間であり、変えようと思ったところでそう簡単には変われない。なら、私は私のまま好きになれるように生きていくしかない」

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「だから、私は舞台俳優になって、立花依綴ではない誰かを演じた。私が私を肯定出来るようにこの道を選んだ」

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「幸いにも役者としての私はある程度の人気があって、ファンだと言ってくれる人や応援してくれる人たちがいる。私を見るために来たのだと言ってくれる人がいる」

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「私を求めてくれる人たちがいるから"立花依綴"には価値があると思っているよ」