
「身も蓋もない発言になってしまうけれど、時と場合によるとしか言えないな」
どんな状況だろうと答えは変わらない、という考えの方が少数派なんじゃないだろうか。
彼が困難に陥っているのは自業自得によるものなのか、それとも何かに巻き込まれただけの被害者なのか。損害というのはどの程度なのか。命に関わるようなものなのか、自分という存在に影響はあるのか。それによって自分の答えは変わる。
前提条件があやふやすぎてどう行動するかと聞かれても正直困る。それが思考実験だと言われてしまえばそうなんだけれど。

「相手が自分にとって大切な存在であり、損害の程度に納得出来れば助けるだろうね。彼を助けたらその代わりに私が死ぬ、とかなら助けないかもしれないけれど」

「今にも死にそうでそんなことを考えている暇などないのなら損害について気にすることなく助けるかもしれないし、あるいはその状況を理解出来ず咄嗟には動けないかもしれない」

「こんな答えと言えるのかも分からないような回答で申し訳ないけれど、最初にも言った通り私は普通の人間でしかない。そんな私に救えるものなんて少ないし、限りがあるから」
いくら助けたいと思っても、手を伸ばしても助けられないことがあるということを自分はよく知っていた。