
「あら、シロ、あなたは変わりたいの?」
瞬き一つ問い返して、ポツポツと語るシロの言葉に一つ一つ頷きながら耳を傾けていただろう。
その問いかけが途絶えるのを待って、唇を開いた。

「そうね、シロの悩みはとても難しいわ。変わることは簡単ではない。その通りね」

「シロは小さな頃は簡単に変われた、と言うけれど、きっと簡単じゃなかったのよ。小さな頃だって大変だったのだと思うわ。大変だと気づかなかっただけで」

「だから、きっと今も同じ、でも今度は変わっていることに気が付かないんじゃないかしら。きっと今もシロはゆっくり変わっていってると思うわ。気づかないだけで」

「私は魔法でその『変わりたい』気持ちの背中を押すこともするわ。でもね、一番は『変わりたい』と思うことですでに変わり始めているのよ」
だから大丈夫、と言うように微笑みかけるだろう。そして自身に対する問いかけには少し視線を宙に浮かせ、考える様子を見せる。

「私が変われないこと……? そうねぇ、体に悪いと知っていても、これがやめられないこと、かしら?」
そう言って唇に指を当てて、指に挟んだものを吸って吐く仕草をして微笑む。

「他にもいくつか、きっと譲れないものはあるわね。でも私はそれが良くないとしても、変わりたいとは思えないわ。変わりたくない、の方が大きいのね」

「シロは変わりたいと思っているなら、いつか変われると思うわ。変わらないなら、それは変わる必要がないだけかも知れない。無理をしてまで変わらなくても良いんじゃないかしら」

「のんびり一服するのだって、大切な時間よ、無意味ではないわ」