Chapter02-05

記録者: ルイ=テネーブル (ENo. 46)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-07 04:00:00

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「ねえ──じゃあさ」

ぱちん。
少年が指を鳴らす。
軽快なくせに、不思議と胸の奥をざらつかせる音がした。

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「“正しい”があるなら……“悪い”って、なんだと思う?

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「君の思う“悪さ”ってさ。どういう形をしてる?
 ……悪い人って、どうして悪い事をすると思う?」

その声は明るいのに、奥底に沈むものは冷たく澄んでいる。
冗談みたいな口ぶりなのに──その実、返答を逃す隙を与えないほど見つめていた。

──あなたは、何をもって“悪い”と判断しますか?


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「僕が新しい曲を吹こうとするとね、
 止めようとする人がいるんだ。すっごく真面目な顔してさ」

笛に指を当て、吹く真似をして。
けれども笛を通して音を出す事はしないで、
また手持ち無沙汰のように笛を手でいじる。

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「親も、偉そうな大人も、見回りの憲兵も、
 神様の言うことばっかり唱える聖職者もね。

 彼らはそれを“正しいこと”だって僕に言うんだよ。
 でもさ、僕の新しい音を止めるんだよ? それってさ──」

そうして。歌う様な声で嗤った。

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〝悪い〟ってことじゃない?

      ──だって僕の方が正しいのだから!

……少年はあなたを見ている。
Answer
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「……そう来たか」

世間では「正しさ」の真逆。
だが己は「正しさ」は暴力であると述べ、
嫌いだが己が正しく見られる可能性も示唆した。
無論、そんな可能性はあってほしくない。それでもだ。
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「ああ、そいつらは悪いヤツだな。あんたにとっては

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「正しさを正義とすんなら、悪はその裏だ。こんなふうに」

イカサマ賭博師は、いつもコインを持ち歩いている。
細工してあるものも、していないものも。
していないものを、放り投げ、ぱし、と手に取る。
開いた手のコインは、「裏」。
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「案外人生なんざコイントスと同じだ。
 気まぐれで、運次第で、人間はコインの表正義にもにもなる」

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「その結果を覆せるか?と言われりゃ難しい。
 決めつけのイキモノたちを納得させるに相応のBET額なんて」

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「命くらいしか、なくね?」

へらと笑う。
いつもの盗賊らしい態度。
しかし、今回の問答はいつもの盗賊らしからぬ、真剣なものであった。