Chapter02-04

記録者: ルイ=テネーブル (ENo. 46)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-07 04:00:00

クリックで開閉
風が通り抜けるような軽い笑い声は相槌のように。
ずっとにこやかに話を聞いている少年は、納得したみたいに数度頷いた後。

icon
「うんうん!じゃあ次は……ちょっと似たような質問なんだけどさ」

明るさはそのまま、けれど瞳の奥に──ほんの少しだけ鋭さが宿る。

icon
「君は自分が“正しい”と──思ってる?」

問いかけるトーン自体は軽い。
けれど、その笑顔の裏側から何かが覗く。
あなたの返答を待つ足は楽しげにぶらぶら揺れているのに、
視線だけは、明確に「答え」を探している。

子供の遊びのリズムの中に、
ほんの少しの、刃のような期待。

──あなたは自らを“正しい”と言えますか?

sample
icon
「僕はさっき言った通り!
 自分の事を正しいと思うから、自分がみんなに聞かせている音が正しいと思っているから、
 僕は笛を吹くし、みんなを導くんだ。だってそうでしょ?」

軽やかに笑いながら、しかし言葉には確信がある。

icon
「ずっと働かなきゃいけない閉鎖的な村も、
 つまみ食いしたら一日ご飯をもらえないのも、
 重い税金も、いじわるなおばあさんも、変わらせてくれない。
 間違ってるから──導いてあげなきゃいけないでしょ?」


icon
「自分が正しいって信じてる人はね、迷わずに進めるんだ。
 曲が途切れないんだよ。ほら、楽譜って止まるとそこで“死んじゃう”からさ」

どこまでも明るい声で、
どこまでもまっすぐに、
少年は“正しさ”を語っていた。
──それで、あなたの答えを待っている。
Answer
icon
「ふー……ん」

先ほど「正しさ」を嘲笑った。
そのうえで「己が正しいか」と言われると少し難しい話だ。
盗賊は己が嫌う人物に容赦なくナイフを向ける。
しかしそれを正しさと認めていない。

icon
「さあね。
 んなこと俺が知ったことかよ。
 とりあえず世間的には俺は正しくねぇ側」
言葉に窮す。
とりあえずの場繋ぎ。
icon
「結局は人によって変わるモンでしかねえ。
 それが多数のものになることもある。
 人によってその言葉の意味も違ぇ。
 そのうえで俺が正しいか、ってんなら」

icon
「俺は正しさって言葉が嫌ぇだ。
 そういうことを訊かれんのも嫌い。
 その問いを投げかけたアンタが嫌だ。
 だから、言葉というナイフを向けてんだろ?

icon
「あまりに嫌いな言葉だからそうは言いたくねえ。
 そうはなりたくねえ。
 だがよ、あくまでさっき俺らが話した前提のうえなら
 俺が正しいことも、あるかもしれねえな。
 そんなのは金輪際御免だけどよ」

盗賊は、己が正しくないことになにか拘りでもあるようで。