Chapter02-03

記録者: 楓 優希 (ENo. 188)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-07 04:00:00

クリックで開閉
奇抜な色の羽織をひらりひら。
あなたの言葉を頷きながら聴いて、なるほど!なんて相槌を入れた。
少年にとってあなたの言葉は新鮮な音列なのだろう。
ありがとう!なんて言葉は程々に。また次のトイカケがあなたに振られた。

icon
「ねえねえ、君に訊きたいんだ。
 僕ってさ──いつも思うんだ。“正しいこと”って何なんだろうって?」

少年は笛を軽く指先でくるくる回し、空気に音の波を描くようにして言う。

icon
「だってさ、僕が吹く笛が誰かを笑顔にしたとき、
 それは“正しいこと”な感じがするでしょ?
 でも、もし誰かが嫌な気持ちになったら……それは“間違い”になるのかな?」


icon
「ね、君は──“正しい”ってなんだと思う?


──あなたは、何をもって“正しい”と判断しますか?

sample
icon
「僕はさ、間違いなんてないと思うんだ。
 高い音も低い音も、速いテンポも遅いテンポも、全部必要で、
 楽しさも悲しさもぜーんぶ、大事なものなんだ!
 だから全部正しいって言えるんじゃないかなって」

見えない舞台の上で踊るように広げた両手。
世界のあらゆる感情を抱きしめるかのように、無邪気で貪欲だ。

icon
「たとえ誰かが“間違い”って言っても、
 そのせいで誰かが笑ったり泣いたり、変わるなら、
 それは正しいことになるんだ!」

少しだけ、笛の端がきらりと光った気がした。
正しさは、正解ではなく──変化そのものなのだと、少年は信じている。

少年は笛を胸に抱き、満足げに微笑んだ。

icon
「僕は“自分が正しい”と信じてる。だから誰かに間違ってると言われても気にならない!

 君はどう?周りの音は気にしちゃうタイプかな?
 それとも、君も自分の旋律を持っているのかな?
 ──君にとって“正しい”て何?」

Answer
icon
優希
「そうだね…。私は…こう思う。正しさなんて、君がいうように、自分が信じた中にしか存在しない。本当にそうだ。自分にとってはそれが正しくても、それが正しくないという人は必ずいるのだから。」

正しさ、なんて、人の数ほどあるのだ。お互いの正しいを認め合うことは大切だが、押し付け合うことが誰にとっての正しさでもないのは、おそらく皆が理解できるだろうか。

icon
優希
「世間では、それが正しさでなくても、その人がそれを正しいと信じれば、その事柄はその人の中では正しくなるからね。」

他人の思考をコントロールするなんて無理な話だ。
だから、これは人の数だけある、そういうこと。

icon
優希
「そして私は…間違いがあることも正しさだと思うよ。間違いがあるから、正しさが存在できる。それは…決して存在しちゃいけないもの、なんかじゃあないと思うんだ。むしろ、存在して初めて、お互いの存在が確固たるものになる。そうじゃないか?」

話しながら、自分はなんてめちゃくちゃなことを言っているのだろうか、なんて。

けれども、話してみて、当然だと思った。だって、間違いが存在しなければ、正しさなんて最初から存在しないのだから。

私は…自分が正しいかは全くわからない。けれども、正しさ、悪さ、という認識は…自分の中にあるようにも思っている。それがなければ、今頃私はワガママ姫なんかになっていただろうから。

そうして、これに伴ってもう一つ気がついたものがある。それが…
守らなければならない正しさと、そうでない正しさだ。
守らなければならない正しさには、次の例がある。

例えば、国々によって様々に決められた法律。
例えば、人前に出る時の服装の最低限のマナー。
例えば、生活する上での清潔さや、対話するときの誠実さなんかもそうだ。

世の中には常識、というものが存在する。
それは、守らなければならない、守るべき正しさなんだと。
この正しさは、守られて初めて、守っている私たちが、真っ当ないち人間である、ということを、また守っている人たちに対して理解させることを助けてくれる。

そういう意味では、変わる正しさもあるが、守らなければならない正しさはしっかりと守るべきだな、なんて…私は気がついたらあまり関係のない話を頭の中で展開していたらしい。

即興で思いついたものだから、あんまりしっかり纏まっていないしぐちゃぐちゃで…外に出すにはもっと整えてからでないと恥ずかしいな。

話を戻そうか。彼は、どれもこれも正しさだと言った。
正直、めちゃくちゃな話にも思えたが…私は、少し救われた気がした。

私の、あの時私のとった行動は…皆から間違いだと非難を受けた。
もっとああすれば、もっとこうすれば、ああしていれば、こうしていれば…という、たらればが、周りの研究員たちの脳みそを支配していた。
私も、いずれかそれに支配されて…やったことが間違いだと錯覚していた。

けれども…君は、私の目の前で、"間違いなんてないんじゃないか"、なんて、大きく言ってくれたから。

icon
優希
「…なんだか元気を貰ってしまったね。何か返したいけれど……君の質問に答えること以外、今はできることもなさそうだね。……質問に答えるだけでいいのなら…私はいくらでも答えるよ。」