Chapter02-01

記録者: 空木 颯斗 (ENo. 59)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-03 04:00:00

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あなたがふと気が付けば、真っ白な部屋に居た。
そこには椅子がひとつ置いてあるだけで、他に何もない。

あなたが以前来たあの部屋と、まったく同じに見える。
壁に触れても感触は無く、すり抜ける事も出来なければ
もうひとつの椅子を見る事も叶わない。

──あなたが椅子に座れば、部屋は拡張されたように感じる。
視界の向こうに椅子があり、そこに誰かが座っている。

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「あれ?」

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「あはっ、すごい。君っていつの間に居たの?
 ちっとも気付かなかった!だってさっきまで誰も居なかった、
 君の音はひとつも聴こえて居なかった!きっと何かが君を導いたんだね」


奇抜な色彩を纏った少年が、にこやかに楽しげにあなたを見ている。
足をぶらぶらと揺らしながら、まるで軽やかな旋律そのもののようだった。
胸元に下げた横笛が、少年の小さな動きに合わせて微かに揺れ、
そのたび、金属が擦れ合う透明な響きが空気を震わせる。

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「ね、僕さ、訊いてみたい事があるんだけど、いい?
 きっとこれは風の導き、新しい楽章の予感!
 今まで聞いたことのない音に出会えそうな気がするんだ!」


少年はあなたに体を傾け、目を輝かせる。
質問を投げかける瞬間でさえ、ひとつの“旋律”を紡ぐように。

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「──君はさ、大人になるってどういうことだと思う?


──あなたは“大人”とは何だと思いますか?

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「僕はね、毎日新しい音を探してる。
 繰り返しばっかりの退屈な道ばっかり歩いてたら、その曲は死んじゃうでしょう?」

空中に弧を描くように指先を動かす。
まるで目に見えない五線譜に、音を刻むみたいに。

その仕草に合わせて、笛が揺れて微かに音を鳴らしたような気がする。
それが空耳なのかどうか、判断できない。

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「僕から見たら大人って、死んだ曲をずっと流してる人たちだ。
 一体何が楽しくてそんなことをしてるのか、僕には全然分かんない!

 君はどう思う?大人ってもしかして僕が知らないだけでもっと楽しいものなのかな?」

Answer
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(お、おぉ……まばゆい色のお帽子でござる。僕が言えたことじゃないでござるが……

対するはまばゆい髪色の少年であった。
シンプルなつくりであるはずの部屋が奇妙な変化を起こす事には、まだ慣れないでいる。
それでも、椅子に座る姿勢は前よりは力の抜けたものだった。
……目の前の人物が以前とは違い『ひとのかたち』をしているからという事もあるが。

質問を受け、視線はゆるりと斜めに落ちていく。

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「えっとお……せ、拙者の世界じゃ18で成人……大人になるとは言われているでござるが」

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「40代50代にもなってガキみたいな理屈と赤ん坊みたいなサイズの器をお持ちの方々もいるでござるからね」
「そいつらを大人と呼びたいかって言われると答えは否なんでござるよな。
 年取っちゃっただけの生き物は大人ではないでござるよね~……」


捻くれた性格は相変わらずであった。
大人になれど変わる事の無いであろう不治の病である。


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「だから……なんだろな。結局自分のケツ自分で拭けるやつが結局大人でござろう!
「楽しく生きてるかどうかは……人によるでござるけど。
 自立してる人って自由に見えるし、自由に見える人って余裕があるように見えるでござる」

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「責任を果たせる人もオトナな気はするんでござるけども……」


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「当たり前に聞こえて、それなりの重圧はある物だし……うーん。
 清濁併せて飲み干すことに耐えられる人、みたいな印象も、あるでござるかねぇ……」