
「……そう」
目の前の光景がほどけるように消えていくのを最後まで眺めることなく、目を閉じる。
あなたが何者であるか――その定義は、あなた自身が決めるもの。

「…………。」
それが質問でなくてよかった。
きっと答えられない。
これが思い出したのはテセウスの船の話だ。
自分という存在は色々と置き換わってしまった。
死なない限りは『空木颯斗』という存在はそれそのものとして観測されるだろう。
元々自分を構成する要素がなんだったのか思い出せないから、それでいい。
事故の定義をしようとするたびに、これは少し、空しいのだ。