Chapter01-Fin

記録者: 空木 颯斗 (ENo. 59)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-03 04:00:00

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「……回答を確認しました」


観察者は淡々と処理を続けているように見えるが、
どこかそれは“耳を傾けている”仕草にも似ていた。

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「当機の観測は、これにて終了します。
 記録は保存され、分析は後続機へ引き継がれます」


レンズがわずかに光を収束させ、あなたを見据える。
無機質なガラスに感情は映らない、
ただそれは淡々と観測を続ける機械でしかない。ずっと。

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「あなたが何者であるか──その定義は、あなた自身が決めるものです。
 当機はただ、それを観測したという事実のみを残します」


──そうして白い部屋がじんわりと、輪郭を失っていく。
まるで夢から醒めるように。


──そう。きっとこれは夢だった。


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「……観察対象。これにて接続を断ちます」



ガラス玉のような声が、虚空の中で響いていた。


ここトイカケはありません。回想や感想を自由に記入したりしなかったりしてください。
Answer
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「……そう」

目の前の光景がほどけるように消えていくのを最後まで眺めることなく、目を閉じる。

あなたが何者であるか――その定義は、あなた自身が決めるもの。

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「…………。」


それが質問でなくてよかった。
きっと答えられない。


これが思い出したのはテセウスの船の話だ。
自分という存在は色々と置き換わってしまった。

死なない限りは『空木颯斗』という存在はそれそのものとして観測されるだろう。
元々自分を構成する要素がなんだったのか思い出せないから、それでいい。

事故の定義をしようとするたびに、これは少し、空しいのだ。