Chapter02-01

記録者: ふるる (ENo. 45)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-03 04:00:00

クリックで開閉
あなたがふと気が付けば、真っ白な部屋に居た。
そこには椅子がひとつ置いてあるだけで、他に何もない。

あなたが以前来たあの部屋と、まったく同じに見える。
壁に触れても感触は無く、すり抜ける事も出来なければ
もうひとつの椅子を見る事も叶わない。

──あなたが椅子に座れば、部屋は拡張されたように感じる。
視界の向こうに椅子があり、そこに誰かが座っている。

icon
「あれ?」

icon
「あはっ、すごい。君っていつの間に居たの?
 ちっとも気付かなかった!だってさっきまで誰も居なかった、
 君の音はひとつも聴こえて居なかった!きっと何かが君を導いたんだね」


奇抜な色彩を纏った少年が、にこやかに楽しげにあなたを見ている。
足をぶらぶらと揺らしながら、まるで軽やかな旋律そのもののようだった。
胸元に下げた横笛が、少年の小さな動きに合わせて微かに揺れ、
そのたび、金属が擦れ合う透明な響きが空気を震わせる。

icon
「ね、僕さ、訊いてみたい事があるんだけど、いい?
 きっとこれは風の導き、新しい楽章の予感!
 今まで聞いたことのない音に出会えそうな気がするんだ!」


少年はあなたに体を傾け、目を輝かせる。
質問を投げかける瞬間でさえ、ひとつの“旋律”を紡ぐように。

icon
「──君はさ、大人になるってどういうことだと思う?


──あなたは“大人”とは何だと思いますか?

sample

icon
「僕はね、毎日新しい音を探してる。
 繰り返しばっかりの退屈な道ばっかり歩いてたら、その曲は死んじゃうでしょう?」

空中に弧を描くように指先を動かす。
まるで目に見えない五線譜に、音を刻むみたいに。

その仕草に合わせて、笛が揺れて微かに音を鳴らしたような気がする。
それが空耳なのかどうか、判断できない。

icon
「僕から見たら大人って、死んだ曲をずっと流してる人たちだ。
 一体何が楽しくてそんなことをしてるのか、僕には全然分かんない!

 君はどう思う?大人ってもしかして僕が知らないだけでもっと楽しいものなのかな?」

Answer
またあの白い部屋だ。
何かに呼ばれているのだろうか。
それともただの偶然か。
前の夢と違うのは、目の前にいるヒトだろうか。

私より少し年上?同い年くらいではなさそうな少年。

ここはやはり質問される部屋なのだろう。
前回も、今回もそうみたいだから。

icon
「大人?」


icon
「一般的に?それとも……まぁ、一般的なお話ではないよね。
そんな事をわざわざ聞きたがらないもんね」


icon
「身体が大きくなったから大人だって言えないよね、ふるるは……んっと、そうだなぁ。
1人で生きていく力を持ったら……かな」


どんな状況でも、生きるのをあきらめない限りそれに必要な物が出てくる。
食事、睡眠、それらを確保するための方法。
自分で、自分の事を出来るようになれば大人だと思う。
少女はそう笑う。

自分は大人になりたかった。
でも……。