Chapter02-03

記録者: ルイ=テネーブル (ENo. 46)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-03 04:00:00

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奇抜な色の羽織をひらりひら。
あなたの言葉を頷きながら聴いて、なるほど!なんて相槌を入れた。
少年にとってあなたの言葉は新鮮な音列なのだろう。
ありがとう!なんて言葉は程々に。また次のトイカケがあなたに振られた。

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「ねえねえ、君に訊きたいんだ。
 僕ってさ──いつも思うんだ。“正しいこと”って何なんだろうって?」

少年は笛を軽く指先でくるくる回し、空気に音の波を描くようにして言う。

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「だってさ、僕が吹く笛が誰かを笑顔にしたとき、
 それは“正しいこと”な感じがするでしょ?
 でも、もし誰かが嫌な気持ちになったら……それは“間違い”になるのかな?」


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「ね、君は──“正しい”ってなんだと思う?


──あなたは、何をもって“正しい”と判断しますか?

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「僕はさ、間違いなんてないと思うんだ。
 高い音も低い音も、速いテンポも遅いテンポも、全部必要で、
 楽しさも悲しさもぜーんぶ、大事なものなんだ!
 だから全部正しいって言えるんじゃないかなって」

見えない舞台の上で踊るように広げた両手。
世界のあらゆる感情を抱きしめるかのように、無邪気で貪欲だ。

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「たとえ誰かが“間違い”って言っても、
 そのせいで誰かが笑ったり泣いたり、変わるなら、
 それは正しいことになるんだ!」

少しだけ、笛の端がきらりと光った気がした。
正しさは、正解ではなく──変化そのものなのだと、少年は信じている。

少年は笛を胸に抱き、満足げに微笑んだ。

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「僕は“自分が正しい”と信じてる。だから誰かに間違ってると言われても気にならない!

 君はどう?周りの音は気にしちゃうタイプかな?
 それとも、君も自分の旋律を持っているのかな?
 ──君にとって“正しい”て何?」

Answer
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めんどくせーことで悩むヤツだな

やれやれだぜ、と肩をすくめてみせる。
路地裏の薄汚い盗賊。イカサマ賭博師。
俗に「アウトロー」と呼ばれる人種。
そういった類である男にとって、
その問いには本気でそう思うのだ。
どこまでも一般的に論じられる"正のかたえ"に立たぬ者故。

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「けどまあ、おおむねあんたの言ったとおりじゃねえの?
そいつが嬉しければ正しい。
そいつが嫌なら間違いだ」

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「……さっき俺は残酷な現実を
知るのが大人になることだ、
って答えたよな。
じゃあ、ここでこの世の残酷さをひとつ、教えてやるよ」
別に今回の問いでそれを頼まれてもいないのに、
流れるように盗賊は語りだす。

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「正しさ、はなにも個人だけが持つもんじゃねえ。
そして正しさっつのはあんたにとっては笛に見えても、
俺にゃナイフにしか見えねぇの」

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「そいつを集団でそいつらの"嫌"だと思うヤツに振るってみろ。
 容易く命を奪えるんだよ。
 相手が"間違ってる"んだから、お咎めもねえ!
 "正しさ"なんざそんなもんさ!!

お綺麗な言葉の残酷さだよなぁ!!
そう、男は嗤う。
天を仰ぎながら。顔を手で覆い隠して。
ポーカーフェイスが、特技の筈であるのに。