Chapter01-05

記録者: 神辺野 令人 (ENo. 121)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-03 04:00:00

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  ──カシャ


シャッターの音の後、あなたを向いていたレンズがふと向きを変える。
何か未知のことを認識した様子で、その後にまたあなたにひとみが向いた。

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「観察対象、最終質問を提示します」


この対話の終端が近いようだ。
不思議な白い部屋での対話は、何の説明もなく始まり、そして終わるらしい。

奇妙な観察者は感慨もなく告げ、一拍。

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──あなたは、何をもって“自らの存在に価値がある”と判断しますか?


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「それは役割でも、使命でも、功績でも構いません。
 また、価値は不要であるとする見解も有益な観測結果となります。

 あなた自身が、どの基準で己を“肯定”し、
 何をもって“無価値”とせずにいられるのか。

 その価値に他者を如何にして組み込んでいるのか、
 その内的構造を、開示してください」


──あなたは自らに〝どのような価値〟があると認識していますか?

 
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「当機は、あなたの答えを推論する事はできても──
 代弁する事はできません
 故に此度は、 あなた自身の言葉で語られることを要求します」
Answer
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「基準?価値のない人間などいませんよ。皆等しく、存在しているだけで尊いのです」

 流れるように嘘をつく。尊いというほどの価値を持つ人間などいるものか。

 少なくとも“自分”が存在する世界──神話が崩壊し、ほとんどの事象が自然主義・科学的方法論に則り定義される現代の地球上において、ある人間の価値を客観的に測るとするならば、その『価値』とは『人間という生物の一個体が存在する』という事象そのものの物質量・情報量と同価である、と評価することが自然・・であろうし、自身もそのやり方には概ね賛成である。

 ただし。『公共の福祉に資するかどうか』という点を鑑みれば、存在する価値のない人間は、確かにいるはずだ。
 そう、アレさえいなければ、妹は死なずに済んだ。
 無駄な犠牲を生む者は、社会には不要だ。