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「はぁ?」
まず、ここはどこだ?や、お前は誰だ?という考えよりも先に、口をついて出た第一声がこれだった。

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「黙れこのクソカスカメラ!!!!テメエレンズカチ割られたいのか?!」
そもそも、ここがどこなのかわからない、だなんて突然言われても当然、すぐに受け入れられるはずもなく。
なんせ、私だって、ここがどこなのかわからないのだから。
こうして、パニックからの意味もないただの八つ当たりが彼を襲った。
それから、満足するまで一通り罵倒し終わって。
息を荒くしながら睨み合っている…というよりも、一方的に睨みつけていると、彼は謝罪と共に、突然自己紹介を始めた。
…やはり怪しまれているという自覚はあったらしい。一応、すごいやつだったらまずいので、黙って聞いてみる。
聞けば、彼は記録媒体を制作しているらしい会社で作られた、記録/観測を専門としている自立型のオートマタらしい。
9号機…番号がまだ若い。ということは、おそらくまだ様々な機能なんかを実装したりして試験運用なんかをしている最中なのだろう。
ピントもまだうまく合わせられないようだし。
それに、話し方が酷く機械的なのもおそらくまだ対話プログラムなんかが完成していないからなのだろう。…なんてことを考えていると、オブザーバーと名乗った彼が、自分の紹介を簡略化したらしいものの説明を始める。

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「バッカにしてんのかよ、そんなことすら分からねえほどアホじゃねえよアタシは…」
わかっていないとでも思ったのか?腹が立つ。けれども、対話プログラムなんかがまだ完全なものでない可能性があるおかげで、私はさっきのように怒鳴らずには済んだ。
はぁ、と大きなため息を一つ。なんだか、機械相手にこうして意味もなく苛立っているのがあまりにも馬鹿馬鹿しくて。一体私は何と戦っているんだろうなんて。
…?…その、腹が立っている原因が、今なぜかどうしても思い出せないことに気がついた。
こういうことには大抵大きな原因があるものだが…よくある空腹でも寝不足でもない。
なら…絶対に他に何か原因があるはずなのだが…思い出せない。
しばらく考え込んだ末、ようやく気がついた。
どうやら一つ、頭の中に大きなモヤがかかっているような感覚があって、そこのモヤが晴れないことへの苛立ちと焦りで、私はひどく落ち着かないでいるようだ。
なぜこんなに落ち着かないかと言えば、思い出せないそれが、酷く重要なことな気がするためだ。

ひとみん
「………………ハァ…悪い、お前は何もしてないのに。……あたしは瞳。新庄瞳。ひとみん…って呼ばれてるかな」
とりあえず、オブザーバーへ、謝罪を送りつつ、こちらは名前だけを教えてみる。当然、本名ではない。当たり前だ。
私は過去に大きな、本当に大きな過ちを犯した。
その代償として、今は身も心も粉にして、必死で裏金稼いでるってわけ。なんだけれど…、…?
…何か…、何か他にもあったような気がする。…働く理由…みたいな…
……やっぱり、変なモヤがかかっているようで、何も思い出せない。
全くもってスッキリできない自分に、私はさらにひどく苛立ちを覚えていた。

ひとみん
「ったく…。知らないとこにいるわなんか思い出せないわで、災難だなあたし…。」
ただ、自分の呼び名を口に出して思ったことがある。
誰かにこの呼び名を呼ばれる度、胸の中へ温かいコーヒーが注がれたような、そんな、温かくて、満たされたような気持ちになったことが、ふと頭の中と胸の奥に浮き出てきた。
確か…そんなだった気がする。
何が…何なんだっけ。思い出さなくちゃいけない気がする。
なのに…頭を捻っても出てくるのは一面灰色の景色だけ。
……おかしい。特になんともないはずなのに、思い出そうとすると頭が重くなる。
どんどん体調が悪くなっているような気がして、ひとまず私は考えるのをやめた。