Chapter01-04

記録者: 高橋 雪 (ENo. 22)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-03 04:00:00

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「では観察対象。それを踏まえて、次の問いです」


シャッターは下りないまま、
ただピントを合わせるようなジジ、という小さな音だけが聴こえてくる。

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「あなたの価値観を測ります。
 ──あなたにとって譲れないものは何ですか?
 自由でしょうか、信頼でしょうか、愛情でしょうか、それとも秩序でしょうか 」

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「その理由も含めて説明してください。
 対象や状況が変わった時、
 あなたの答えはどのように変化するでしょうか?」


──あなたは自らの価値観をどのように認識していますか?

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「譲れないもの、とひとえに考えても即座に思いつかぬ場合もあるでしょう。
 自由、信頼、愛情、秩序、誇り、忠誠、知識……無数の選択肢が考えられます。」


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「当機は観測を第一義として設計されています、
 どのような思考をせど、必ず『観測』という目的を前提に持ちます。

 これは精神的価値としての『誇り』や『忠誠』とは異なります。
 しかし、機能としての観測が揺るぎ得ない前提であるという点では、
 それらに類する不変性を持つと言えるでしょう」


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「思考の前提、当然と感じている事、
 それこそ、先の思考を組み立てる際に自らが重視したものを改めて噛み砕くと良いのやも知れません」


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「回答は単一である必要はありません。
 譲れない価値の間で揺れる感情や葛藤も、重要な要素です。
 必要に応じて検討を続けてください」

Answer
回答者はメガネのフレームをそっと触りながら、優しく微笑んだ。

「私にとっての譲れないもの…それは『優しさ』です。誰かが誰かを傷つけないでいられること。みんなが、少しでも笑っていられること」

「昔は自分が傷つくのが怖くて、『どうせ私なんか』って逃げてたけど、駿君たちと過ごすうちにわかったんです。優しさって、受け取るだけじゃなくて、返すものでもあるんだって」

「だから私は、誰かが泣いてるのを見たら、自分の損害なんて考えずに手を差し伸べたい。クエちゃんやハーちゃんにも、そして何より、駿君たちにも」

「どんな状況でも……この気持ちだけは変わりません。
優しさだけは、絶対に譲れない」