
「期待……期待、ですか。
たしかに、立ちふさがる敵に手も足も出なかったときは、申し訳ない気持ちになりましたけれど…」

「それ以上のことが起きるわけではないからな…僕らはね。
何かを得るために動いているわけではないし…物々交換で利益を得るわけでもないしな…
住みやすい環境を選択することはあるけれど、たいていは皆、そこが居心地が悪いと思えば、旅に出てどこか別の世界に行ってしまうから」

「そうなのですよね。
私は今では、どこかの世界に召喚されて力を求められることもありますから、その時は期待に応えようって思いますが…
相手の魔力だとか力量に応える形で喚ばれていますから、正確には、術者の魔法の範囲内の働きなのですよね」

「期待…期待といえば、僕が今していることは『期待に応えようとしてる』のかな」

「ああ、コ…えっと、お嫁さんの相応しい伴侶になりたい、っていう、『人間の旦那様としての期待』ですね!」

「……最初にその『お嫁さん』を広めたのって誰なんだよ…」

「あら。貴方自ら『あの子に手を出すな』って言ってたじゃないですか。ですから私たちは、貴方が人間の女の子をお嫁さんとして娶ったのだと…私たちの世界では、人間と結ばれるとはそういうもので……」

「もういい、わかった。
……そういうのも『期待』だし『責任』だよな。人間の世界では一生をかけた大事な契約だっていうし、期待の大きさで言えば相当かもね?」

「『期待』を『どう思うか』でしたっけ」

「どうも、何も。
僕は彼女に約束したから。
絶対君を幸せにするって。
だから苦しいものでも辛いものでもないよ。
彼女がそれに応えてくれているのだから、僕はその期待が消えないように、ずっと幸せに…」

「……っぁ…この話、ここまででいいかな?」
恥ずかしい話をしている自覚が出たため、言葉が出なくなったようだ