Chapter02-04

記録者: Πολύτιμος λίθος ρουμπελίτης (ENo. 204)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-03 04:00:00

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風が通り抜けるような軽い笑い声は相槌のように。
ずっとにこやかに話を聞いている少年は、納得したみたいに数度頷いた後。

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「うんうん!じゃあ次は……ちょっと似たような質問なんだけどさ」

明るさはそのまま、けれど瞳の奥に──ほんの少しだけ鋭さが宿る。

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「君は自分が“正しい”と──思ってる?」

問いかけるトーン自体は軽い。
けれど、その笑顔の裏側から何かが覗く。
あなたの返答を待つ足は楽しげにぶらぶら揺れているのに、
視線だけは、明確に「答え」を探している。

子供の遊びのリズムの中に、
ほんの少しの、刃のような期待。

──あなたは自らを“正しい”と言えますか?

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「僕はさっき言った通り!
 自分の事を正しいと思うから、自分がみんなに聞かせている音が正しいと思っているから、
 僕は笛を吹くし、みんなを導くんだ。だってそうでしょ?」

軽やかに笑いながら、しかし言葉には確信がある。

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「ずっと働かなきゃいけない閉鎖的な村も、
 つまみ食いしたら一日ご飯をもらえないのも、
 重い税金も、いじわるなおばあさんも、変わらせてくれない。
 間違ってるから──導いてあげなきゃいけないでしょ?」


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「自分が正しいって信じてる人はね、迷わずに進めるんだ。
 曲が途切れないんだよ。ほら、楽譜って止まるとそこで“死んじゃう”からさ」

どこまでも明るい声で、
どこまでもまっすぐに、
少年は“正しさ”を語っていた。
──それで、あなたの答えを待っている。
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「自分が正しいかどうか…ですか」

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「私はかつて…
『忘れ草』であることを望み、彼の方に忘れられようとしました」

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「『私のことを忘れてください』と」

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「私はそのまま、消えるつもりでした。
ヘメロカリスは忘れ草。さまざまな花を通して、花言葉という『言葉』を届け続けていました。
でも、私の花は忘れ草です。
いつかは何もかも、忘れて消えていく。それが私の花に宿る宿命だからです」


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「それでも。
彼の方には、忘れられませんでした。忘れ去られることはありませんでした」


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「時が経ったから、わかったことです。
私は、彼の方に忘れ去られはしなかったのだ、と。
それが花の在りようとして正しかったのかは、わかりません。
『例外』なのか、それとも『そういう側面があるのか』も」


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「それでも、そこに確かに『忘れないでいてくれた彼の方』がいます。
それが、ただしいかどうか、なんて、べつに私にはもう、どちらでもいいのです」


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「もういちど、彼の方に、会うことが出来たのですから」


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あえて口をつぐみ、静かに聞いている