Chapter02-03

記録者: Πολύτιμος λίθος ρουμπελίτης (ENo. 204)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-03 04:00:00

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奇抜な色の羽織をひらりひら。
あなたの言葉を頷きながら聴いて、なるほど!なんて相槌を入れた。
少年にとってあなたの言葉は新鮮な音列なのだろう。
ありがとう!なんて言葉は程々に。また次のトイカケがあなたに振られた。

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「ねえねえ、君に訊きたいんだ。
 僕ってさ──いつも思うんだ。“正しいこと”って何なんだろうって?」

少年は笛を軽く指先でくるくる回し、空気に音の波を描くようにして言う。

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「だってさ、僕が吹く笛が誰かを笑顔にしたとき、
 それは“正しいこと”な感じがするでしょ?
 でも、もし誰かが嫌な気持ちになったら……それは“間違い”になるのかな?」


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「ね、君は──“正しい”ってなんだと思う?


──あなたは、何をもって“正しい”と判断しますか?

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「僕はさ、間違いなんてないと思うんだ。
 高い音も低い音も、速いテンポも遅いテンポも、全部必要で、
 楽しさも悲しさもぜーんぶ、大事なものなんだ!
 だから全部正しいって言えるんじゃないかなって」

見えない舞台の上で踊るように広げた両手。
世界のあらゆる感情を抱きしめるかのように、無邪気で貪欲だ。

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「たとえ誰かが“間違い”って言っても、
 そのせいで誰かが笑ったり泣いたり、変わるなら、
 それは正しいことになるんだ!」

少しだけ、笛の端がきらりと光った気がした。
正しさは、正解ではなく──変化そのものなのだと、少年は信じている。

少年は笛を胸に抱き、満足げに微笑んだ。

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「僕は“自分が正しい”と信じてる。だから誰かに間違ってると言われても気にならない!

 君はどう?周りの音は気にしちゃうタイプかな?
 それとも、君も自分の旋律を持っているのかな?
 ──君にとって“正しい”て何?」

Answer
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「難しいですね、私たちの世界には『正しい』がありませんから…」

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「私たちの生まれ持った『花』は、それにふさわしい、正しい行いをするというより、私たちの存在そのものなのです」

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「その花の存在に、私たちの全てが引っ張られ、かたち作られてゆくのです。…ええと、わかりやすい言葉で言いますと…『私たちは、その花のように行動するように、全てが決められている』といった感じでしょうか」

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「その植物は、僕らの存在そのものだからね。そうなるように出来ている。…ああ、でも中には、姉さんみたいに『本来の植物とは違うかたちに変異した』精霊もいるね」

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「そうですね。本来の花に宿り、その花のように過ごすのが普通の姿ではありますが、変質してしまうものもいます。
変異は『正しい』というよりは『そのように変わってしまった』のですから、私たちは『花の在りようを変えない限り、私たちの正しさも変えられない』ことになるでしょうか?」

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「そうだね。その花の在るがままに動く。その花が変われば、僕らは変わった姿のように動く。
正しいかどうかは、その花の本質に縛られ、その花の在り方に従って動く。
正義という花であれば、正義を胸に生涯を終えるだろ。偽りという花であれば、偽りを貫くことが、その花の精の『正しい在りよう』だよ」


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「僕は今では人間の女の子の世界で過ごしているから、そこの世界のルールの中での『正しさ』も守るけれどね。
でも、花の精である本質は、ずっと変わらないかな」