
「自分を信用…ですか。それは技術でしょうか、それとも、もっと別のものでお答えしたほうがよいでしょうか…ね」

「両方でいいんじゃないかな」

「では…」
「私は時間や空間を旅をしています。私たちは、別の世界へ行く道をつなぐ、道を作ることができる能力を持った種族です。でもその道筋を辿ろうとすることは、自分の腕前を信じていなければ、躊躇うこともあるでしょうし、歩みを止めてしまうでしょう。
時空を渡る道が不安定な作りになっていたことで、時空の歪みへと閉じ込められ、当て所なく彷徨う可能性ももちろんあります。だからこそ、不安を感じたらそちらにゆかない、ということもあります」

「私…ですか。
私は、今まで様々なものを世界に喚び、そして私自身も世界を渡り続けています。
今では、同行者ではないものの、世界を渡った先でも会える方もいます」

「別世界での出会いや再会は、確実性があるものではありません。
それでも、きっと。
私の呼び声に応えてくれると。
きっとまた会えるのだと。
それはいつでも、信じていますよ」

「僕は………そうだな。
僕自身の腕前。時空間渡りの技術だとか、癒しや風や他の魔法だとか、武器の扱いだとか。そういう『僕自身が出来る技術』は、そんなに信用してない。
僕は主様や姉様に比べたら、まだまだ経験が浅いと思っているからね」

「でも、それでも、信じなきゃいけないことがある。
僕は彼女の世界で過ごすことを決めた。
だから。彼女の世界から離れた時には、必ず彼女の元へ帰る。それはとても大事な約束なんだ。
自分の腕前ではどうしようもない時や、不可抗力で道を見失うことも、この先起こらないとも限らない。それでも僕は、どれだけ困難であっても、彼女の傍に居ると決めたから、必ず帰るよ」

「腕前は信じてない。そうなんだけど、それでも自分の腕前を頼らなきゃいけない時がある。だから、僕が僕の腕前を信じ切れていなくても、果たさないといけないんだ」