Chapter02-01

記録者: Πολύτιμος λίθος ρουμπελίτης (ENo. 204)
Version: 1 | 確定日時: 2025-12-03 04:00:00

クリックで開閉
あなたがふと気が付けば、真っ白な部屋に居た。
そこには椅子がひとつ置いてあるだけで、他に何もない。

あなたが以前来たあの部屋と、まったく同じに見える。
壁に触れても感触は無く、すり抜ける事も出来なければ
もうひとつの椅子を見る事も叶わない。

──あなたが椅子に座れば、部屋は拡張されたように感じる。
視界の向こうに椅子があり、そこに誰かが座っている。

icon
「あれ?」

icon
「あはっ、すごい。君っていつの間に居たの?
 ちっとも気付かなかった!だってさっきまで誰も居なかった、
 君の音はひとつも聴こえて居なかった!きっと何かが君を導いたんだね」


奇抜な色彩を纏った少年が、にこやかに楽しげにあなたを見ている。
足をぶらぶらと揺らしながら、まるで軽やかな旋律そのもののようだった。
胸元に下げた横笛が、少年の小さな動きに合わせて微かに揺れ、
そのたび、金属が擦れ合う透明な響きが空気を震わせる。

icon
「ね、僕さ、訊いてみたい事があるんだけど、いい?
 きっとこれは風の導き、新しい楽章の予感!
 今まで聞いたことのない音に出会えそうな気がするんだ!」


少年はあなたに体を傾け、目を輝かせる。
質問を投げかける瞬間でさえ、ひとつの“旋律”を紡ぐように。

icon
「──君はさ、大人になるってどういうことだと思う?


──あなたは“大人”とは何だと思いますか?

sample

icon
「僕はね、毎日新しい音を探してる。
 繰り返しばっかりの退屈な道ばっかり歩いてたら、その曲は死んじゃうでしょう?」

空中に弧を描くように指先を動かす。
まるで目に見えない五線譜に、音を刻むみたいに。

その仕草に合わせて、笛が揺れて微かに音を鳴らしたような気がする。
それが空耳なのかどうか、判断できない。

icon
「僕から見たら大人って、死んだ曲をずっと流してる人たちだ。
 一体何が楽しくてそんなことをしてるのか、僕には全然分かんない!

 君はどう思う?大人ってもしかして僕が知らないだけでもっと楽しいものなのかな?」

Answer
icon
「大人…ですか。難しいですね。私たちは、大人や子供という概念がありませんから…」

icon
「ああ、ええとですね、私はいま、こういう姿をしていますが…」

image
icon
「人間の女の子であれば、ちょうど学生さんくらい、でしょうか。
…たぶんあなたと同じくらいなのですけれど…
もっと、ずっとずーっと年上、なのですよ」

icon
「僕は姿は変えられないんだけれどね。
今の姿も不可抗力というか…葉の中で寝ていたら、色々あってこの姿になって。変わるつもりがないからいいんだけどさ。
でも僕らは、たいていは様々な好みの姿を選んでいるからね」

icon
「そうですね。それぞれの上下関係は、大精霊だとか教育係だとかありますから、私たちの決まりごとでいう『大人になる』でいうと、『指導する精霊ができたら』になるでしょうか?」

icon
「うーん…それだと、数百年も子供のままって奴がたくさんできることにならない?」

icon
「そういう種族なのですから、仕方ないのではないでしょうか?」

icon
「その基準だとさぁ、僕はあと数百年、子供のままってことにならない?」

icon
「貴方の場合は、いま貴方がいる世界の『大人』でよいのではないですか?」

icon
「今の世界の基準か……。
そういえば、コロ…いや、彼女は、もう自分は成人してるから酒が飲めるって言ってた。だから彼女の世界の基準だと『酒が飲める歳』が『大人』だろうから……
僕は彼女より年上だと認識されてるから、僕も彼女の世界では『大人』かな」