
「あら。実に…人間らしい、質問ですね。先に答えますか?」

「僕はあとで答えるよ。むしろ聞いてみたい」

「そうですか。では。
…私たちは時間と空間を渡る旅人です。ですから基本的には、その世界で誰かに干渉することは、あまりよいことではないのです。
困難が起こり、助けを求めているものを、助けたとします。そうすると、私の世界への歪みが生じ、なにがしかの干渉を受けるかもしれません。
その世界のかたちが変わってしまうかもしれない。その世界で本来助かるはずの方が、代わりに困難に遭うかもしれません」

「ですから縁もゆかりもない、どこかの世界の誰かを助けたり、干渉をしてはいけないのです。
その世界は、あるがままに。だから、その人もまた、その世界の運命に従っていただくまでです」

「でも、何事にも『例外』はある」

「そうですね、貴方は『例外』を選びましたから」

「別の世界の住人であれ、その人物が『世界を伴にしたい相手であるならば』
…それは、例外が認められているわけではないけれども、干渉をすることがある」

「神隠しにあったとか、お姫様を攫ってきたりとか、木の中に閉じ込めたりとか、たくさんの逸話は残されていますからね」

「……人聞きの悪い。それじゃ僕も攫ってきたみたいじゃないか」

「似たようなものではないのですか?
人間の女の子を、貴方だけのお姫様になさったのでしょう?」

「……同意の上だからね?
…つまりだ、同じ世界に引き込もうと思う相手であれば、干渉することもある。助けることもある。僕らも時空を旅するものだ、そんなに複数の生命を囲うことはできない。せいぜい、人間でいう家族の規模くらいだし、むしろ干渉したときは、僕らがその世界から離れない選択をすることの方が多いだろうね」

「そうですね。ですから、その世界の決まりごとを私たちも受けることになります。その世界のきまりにしたがって、行動することを余儀なくされますから、その上で助けたほうがよいと判断したら、助けることもあるでしょう」

「だから、助けるかどうかを決める条件は、相手の年齢や性別、種族ではないね。僕の場合は、彼女か彼女の関係者でなければ、干渉しないのは変わらないと思うよ」

「ええと…その世界に干渉するかどうかは、生活しながら少しづつ馴染んでゆくところかもしれませんね。もう少し世界と関わることが出来るように。今では、そこは貴方の世界なのですから」