
「わたしたちの世界、だそうです。
説明して差し上げられますか?」

「なんとか頑張るけど…僕でも出来るかな」

「僕らは、深い森の奥地に住んでいる。森の植物より生まれ、森の植物に宿って生活しているから。多分そのあたりは、精霊や妖精と聞いて想像するものと、きっと変わらない」

「でも僕らは様々な世界を旅している。
かつてのように、森で全てを賄えるほど、肥沃な森が広がっている世界は、そう多くはない。
対して僕らはたいていは長寿だ。増えれば増えるほど、住む世界は狭くなってしまう」

「だから…
僕が最初に生まれた世界、という話であれば。
決して広くはない森で、そして少数の精霊に囲まれて過ごしてた。皆が一箇所にいることは少ないから、たいていは間接的に連絡を取り合っているけれど。
…僕も今はもう、そこで暮らしていないしな」

「そうですね。各々が今住んでいる場所が『自分のもといた世界』です。
でも生まれた世界というのは誰にでもあります。私達森の精霊は、たいていは森の多い場所で生まれますから、森の中が私たちの世界になりますね」

「その世界での『普通』っていうと…なんだろうな?」

「私たちは精霊であることと、私たちと同じ森の精霊は必ず何かの植物から生まれ、その影響を強く受けること…ではないですか?」

「ああ、なるほど。そうだね。それが僕達の『普通』だ」

「あとは…男性型の精霊は珍しいってことくらい?」

「貴方の場合はさまざまな点で珍しい個体なのですけれど…」

「そうなんだ。彼女にもそれは伝えておいた方がいいかな」

「でも、男性型の精霊が人間の女の子が好きなのは、貴方も変わりませんでしたね」

「うん、そうだね…
…そういう理由で彼女を選んだわけじゃないからな?」

「ええ、それはわかっていますが…
ずいぶんと噂が一人歩きしてしまったようで」

「あいつらに人間の女の子が近くに居ると知られたら、彼女が危ないんだよ。だから手を出されないように牽制として…
特にその…多分未経験の…人間の女の子だったから。手を出されてから後悔しても遅い」

「貴方のお嫁さんにした噂であれば、誰も手を出しにいきませんものね。嘘をついている訳ではありませんし」

「まだ『お嫁さん』じゃないんだけどね…あいつらが手を出さなくなるなら、その方がいいから、別にいいや…」