🌘 | 記録詳細

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記録者: そこに有る月 (ENo. 79)
公開日: 2025-10-26

彼、もしくは彼女は、世界を巡り続ける。
扉を開けて、様々な世界を見て、様々な人と語らい、そしてまた次の扉を開けて、旅をする。
けれど、ある時偶然、今まで見たことのない扉を発見した。
その扉を開けると、どこにでもありそうなそれなりの大きさのカフェに繋がっていた。

店の雰囲気も、提供しているメニューも、普通のカフェと何ら変わりはない。
他のカフェと違うところといえば、そのカフェの客は誰も彼も、様々な異世界から来ているというところ。
様々な世界を渡ったが、あのカフェのことは随分と気に入っているようだった。



「……だって、初めてだったんだ。『本物』の異世界というものは」

「本当は、全部全部わかっているんだ。ずっとずっと、夢を見続けていること。
今見ている世界は全て空想で、見上げる月とあのカフェの景色だけが本物だということ」

「…………ねえ。ずっとずっと、あのカフェに通えたらいいね」