フリルの似合う女っていいよな。 | 記録詳細

フリルの似合う女っていいよな。

記録者: 矢島暁良 (ENo. 82)
公開日: 2025-10-26

アタシとアレンが出会ったのは会社で新卒で入社してから。
入社当初はやっぱりちょっと遠慮してたのかポニーテールで出社してたはずなんだけど。

まず白く髪が半分染まって。
段々ポニーテールが巻き始めて。
スーツがカジュアルスーツになってきて。
二年目になってからはワンピース。
三年目にはゴスロリになって、縦ロールになってた。

まあ社風が割とファッションが緩いし。
ちゃんと客先行くときはポニーテールでカジュアルスーツだし。
アレンが積極的にゴスロリになってくから年々入社希望も増えてくし、私服の人も多くなってきたらしい。
まあいいんじゃない?残業あるけどちゃんとしてる会社って。
アタシらはウェブデザイナーだからそういうの受け入れられやすいし。


で。


そんな会社の上司にも一目置かれてるアレンちゃんこと佐藤亜連はど~してアタシとタメはってんのかって言うと。
会社の面接ん時の話が必要不可欠ってわけ。


実を言うと、アレンとは。
会社の面接を受ける前。
駅の化粧室の鏡の前で。
凄い体調が悪そうに蹲ってて。

用事を済ませてもずっといるもんだから、声かけたんだ。
あんたも今日面接か~、って。

今思えば大学にも行ってたらしいんだけど、
ずっとそこじゃあくすぶってたらしくって、あんまり友達もいないまま
色んな授業を受けてたらしい。
行きついた先がウェブデザイナーとは、なかなか変わってるとは思うけど。

だから、あんなにも。
受ける前から泣いてたのは、きっと怖かったんだろうなって。
今なら分かるんだけどさ。

「まあアタシも緊張はするし~、とりまあったかいの飲もうぜ~。ミルクティでいい?アタシの奢りでいいから」

普段なら、素通りするんだけど。
気が付いたら声かけててさ。
ちょっとして買ってきたミルクティを一緒に飲んで。
連絡先とかなんかそのまま勢いで交換して。

打ち解けた後、アタシらは頑張ろうぜ~、って感じで別れて。
面接には間に合って。
そっから二人共入社の時にあ、ってなって。
今じゃ泊まりに一緒に行く仲ってわけ。


「まあ今じゃ考えられないけどね~、アレンはイケイケだし」




――そう。

だからこそ、アタシは思うのだ。


三重の男ってやつが、アレンを泣かせたら許さんぞ!ってな。

頑張れよ、三重の男。アレンは任せたからな。
アタシでも、ピアノを弾いてるとこ、聞いたことないんだからさ。