金貨 4枚目 | 記録詳細

金貨 4枚目

記録者: 黄金の悪魔 (ENo. 20)
公開日: 2025-10-19

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ああ、悪魔よ!黄金を司る悪魔よ……!
よくぞ我の呼び声に応えてくれた……!
お前の噂はこの森の奥深くにある我が領土にまで届いているぞ!
お前は対価さえ差し出せば溢れんばかりの黄金を与えてくれるのだろう?

であれば!我が領土に、我らが住まう呪われたこの土地に!
尽きぬほどの黄金を齎したまえ……!
対価は何だってくれてやる、我が、我らが差し出せるものなら幾らでも!

……わかっている、理解できているとも。
こんなことを悪魔に頼む王など、乱心しているだろうとも。
しかし、我々にはもはやお前の力しか頼れるものがないのだ……!

見ろ、この暗く鬱々とした我が国を……!
国の四方を囲む森は豊かな実りを我々には与えてはくれなかった。
ただ広がる鬱蒼とした森は略奪者を阻むが行商人らの足も止める。
太古より根を張る木々に土の栄養は奪われ続け、畑は碌に機能しない。
そしてついに、疫病までもが流行り始めてしまった……!
陽の光も広がる葉が遮るせいで土地が穢れる一方だ……!

皆を助けるには金がいる。金があればよその国に支援を頼める!
まずは金なんだ、金さえあればどうにでもなる……!
何かを始めるには金がいるのだ、金さえあれば!

頼む、悪魔よ!最早命など惜しくもない!何もかも捧げる!
だから……!だから頼む黄金の悪魔よ……!
永久に輝き続ける黄金を……!我らの国を黄金郷へと変えてくれ……!



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──ああ、いい子だ。お前は本当に素晴らしい悪魔だよ。
お前も俯いてないで見ろよ、この見渡す限り黄金の景色を……

人間どもはお前に何もかも捧げて黄金郷これを作りたかったんだろ?
お前は完璧にその願いを叶えてみせた。
はは、おい、本当に最高の景色だぜ!ちゃんと見ろよ、お前が作ったんだ!

この国に住むすべての人間の命を使ってお前が作ってみせたエル・ドラドだ!

あの夢物語は今日現実のものになった!お前の力で!
地面も、建物も、植木も、本のページだってすべて黄金に作り替えられている!

あはは、最高に悪趣味じゃねえか!何だよこのギラついた国はよ!
国は気色悪いほど煌びやかだってのに人っ子一人いやしない!
まあ、そりゃ当然だよな。どいつもこいつも疫病で残り寿命なんざ殆どなかったんだから。
全てを対価に溢れんばかりの黄金を望めば……そりゃ当然こうなるだろ。
馬鹿な王を持つと国民ってのは苦労するなあ……はは、国民も決して賢くはなかったみたいだが。

……は?何を後悔してんだよ。するにしたって今更遅いだろうが。
変えちまったもんはもう戻らねえ。お前は黄金に変えた時間を戻してはやれないだろ。
知らなかった、分からなかった、こんなことになるなんて……とか言い出さねえよな?
少なくともお前は理解してた筈だぜ?尽きぬ程の黄金を、なんて願い……
一人や二人の命で支払いきれるものなんかじゃあないってことくらい。
でも、お前は叶えた。叶えたってことは"こうなっちまう"ことを多少なりとも覚悟してたってことだろ。

……ああ、そうだよな。わかってるよ、お前は俺のためにやってくれたんだよな。
お前は俺を喜ばせたくてしにたくなくてあの人間の願いを叶えたんだよな。
だからはじめに言っただろ、いい子だって。素晴らしい悪魔を飼えて俺は本当に幸せ者だよ。
お前の選択は間違ってない。お前は俺の所有物として正しい行いをしたんだ。
だから誇れ、だから喜べ。尻尾振って俺にご褒美でも貰いに来たっていいんだぜ?

……。

……ああ、そうかい。
俺は今機嫌がいいからお前がそこで時間を無駄にするのを許してやれるが……
くだらねえことに時間を割いてる暇なんてないからな。さっさと次の仕事に移れよ。
この俺ですら時だけは自由に扱えない。一分一秒無駄にすることなんざ許されねえんだから。

いいな、早くしろよ。



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