独りになって、行く当てもなく街を彷徨っていた。
街道には見せしめのように魔女だとされるヒトの遺体が装飾のように吊り下げられている。
なんて悪趣味なのだろう。それを見て嗤っている人間が酷く気色悪く見えた。
同じ姿をしているのに。いや、もしかしたら同じ人間であるかもしれないのに。
魔女であると誤認され、殺されたヒトも多く居たらしい。
なんと惨い。人間ではない者の方がまだ倫理的ではないだろうかと思える。
街中に入ると喧噪が増した。ふと、派手な衣装とメイクで老若男女を笑わせているピエロを見かけた。
鮮やかなボールが宙を舞う。色とりどりな紙吹雪が落ちる。
遠目から見ているだけだったが、それでも十分に足を止める理由になった。
今にして思えば、切欠なんて些細な事だったのだろう。
僕はもう心から笑えない。本当に見たい笑顔はもう二度と見られない。
笑えないなら、見られないなら。代替品として他人の笑顔を糧として生きよう。
魔女だからと。悪魔だからと虐げられる事もあったけど。
僕は奪う側にはなりたくない。
あぁ、いや。一つを除いてね。
あの血筋…あの家以外からは奪いたくはない。
あの家にとっては僕は悪魔そのものなんだろう。
構わないとも。そうでなければならない。そうであり続けたい。
例え悪魔祓いから滅されようと、消滅する時まで呪い続けよう。
でも本当は。僕だって。