イロを喪った唄。
元々はIronymouthが創っていたキャラクターがいる世界を取りまとめ、つじつまを合わせるために出来たものである。
そこで世界線は分かたれ、永遠に繰り返す世界を題材とした。
また、それを観測するためにこの世界自体の創造神を創造し、世界を本として具現化した。
そうして教典は、イロを喪った唄は存在した。
継ぎ足すうちに本自体に人格が生まれ、全編を司る教典【Δ】が生まれた頃。
いよいよ世界の体系と目的を創り始めた頃。
多分、疲れていた。いや、とても疲れていた。
その日初めて、大学院を無断で休んだ。
何となく、全部投げ出したくなった。けれど筆は止まらなくて。……心臓を止めないと筆も止まらないタイプらしい。
まるで筆に引きずられて、だらだらと崖っぷちを走っている心地だった。僕は縋るしかなかったのだ。
「創造神、変なことを考えないでください」
そんな声が聞こえた。いやあ、幻聴というものはかなり幼い時にありはしたが、さすがに驚いた。
やっぱり全に疲れていたのだ。
「取り敢えず寝ましょうか」
脳内で灰色の男は困ったように微笑んでいた。僕も困って微笑んだ。
本当にあったかは信じなくてもいい。ただの与太話だ。