金貨 3枚目 | 記録詳細
金貨5枚……対価はその辺で摘んできた花5本……
金貨10枚……対価は人間が書いた出鱈目な魔導書1冊……
金貨袋いっぱい……対価はその人間の家に数日間住まわせてもらうこと……
ああ、ああ、俺は本当にお前に期待していたのに。
どうしてお前は俺のこの期待を裏切っちまえるんだよ。
心の底からお前のことを信じていたんだぜ、きっと俺のために働いてくれるって。
なのにさあ、なあ、これは一体どういうことなんだ?
可笑しいだろ、可笑しいよなあ?お前対価って言葉きちんと理解できてんのか?
確かに俺たちは人間が欲を失わない限り幾らでもこの力を使うことができる。
そして知恵なんてもんをつけちまった人間はもうどう足掻いても無欲でなんかいられない。
だから俺たちは好き放題できる、悪魔は人間と良きパートナーでいられる!
……でもよ、これは違うだろ。お前のそれは違うんだよ。
タダ同然で作れるから、タダでくれてやって良い……って?
はは!おいおい、勘弁してくれよ!
そんなもん間違ってるに決まってんだろ。何で考えられねえんだよ。
人間は当たり前にある物には価値を見出さない。
お前がそんな風に簡単に金貨を配り歩いてたらよ、金貨に価値は無くなるんだよ。
価値がなくなったらどうなるか、お前、分かってないだろ。
価値のないものなんて俺はいらない。
俺の為にならないものはこの世にいらない。
なあ、幾ら馬鹿なお前でも俺に捨てられたらどうなるかって……理解できてるよな。
お前も、お前のその相棒も……この世に居なかったことになる。
ここでこのままお前の力をこの手に収めてしまえば、お前は消えてなくなる。
一緒に仕事する相手がいなくなるお前の相棒も喧しそうで面倒だから消すことになる。
良いのか、それで?
良いわけないよなあ……
じゃあお前がこれからすべきことは何だ?そうだ、ちゃんと対価を人間どもから得ることだ。
金貨を何と交換すれば良いと思う?金をカネと交換するなんて馬鹿言ってくれるなよ?
思いつかねえか?わからねえか?わからねえなら教えてやる。
お前は金貨を欲しがる奴から時間を対価に貰ってこい。
人間の価値は色々あるが……どうせお前じゃ誰が何を持ってるかなんて分かりやしねえだろう。
だから簡潔に欲しがるやつから時間をもらってこい。
金貨1枚につきそいつから1日分の時間を交換しろ。心配するなよ良心的なレートだ。
幾ら人間が俺たちに比べて短命とはいえ1日、2日もらった程度じゃくたばらねえ。
100枚与えたってたった100日減るだけだ。死ぬ前に余裕で使い切れる。
……おいおいおい、勘違いするなよ。今のお前に他の案を提案する余裕があると思ってんのか?
言ったよな、俺はお前らに……お前に期待してたって。
その期待を裏切られて、俺は今心底傷ついてるんだぜ。
それだってのにまだお前はアレコレくだらねえこと言い出して俺を悲しませようってのか?
そんなつもりなんてないよなあ。
分かってるよお前は必死に俺のために頑張ってくれてたってことくらい。
でもやり方がわからなかっただけなんだよなあ?そうだよなあ?
じゃあ今やり方を教えてやったんだからこれからは間違えたりなんかしないよな。
二度目はねえぞ。次やらかしたらどうなるか……ちゃんと覚えておくんだぜ。
忘れるなよ、お前が金貨と交換するものが何なのか。
お前は誰が所有する悪魔なのかを、な。