さいしょのはなし | 記録詳細

さいしょのはなし

記録者: ビブラヴィナ・バンビ (ENo. 186)
公開日: 2025-10-13

二度と同じ轍を踏まぬようにと神様は俺に使命を与えた。
俺と同じく各種の始祖も使命を与えられたようだが内容は違う。
獣の始祖たる俺に与えられたのは「他世界の食を知ること」。

……食事?
この出来たばかりの世界にも少しの食料はあると言うのに何故、と目を瞬かせた。
神様は俺の問いに変わらず同じ言葉で返すのだった。

旧世界と同じ轍を踏まぬように、と。


碧い海と所々緑が生えた白い陸。
他世界と繋がるゲートに向かう前、海の中を覗く。
旧世界の建物が沈み朽ち果て、今や水棲種の棲家になっている。

建物と建物の間を優雅に泳ぐ水棲の始祖とふと目があう。
海の底からこちらに手を振るので行ってくるの意を込めて手を振り返す。

「マートル様からの使命、しっかり果たせよーーーッ!」

「うっっっっさ」

こうして耳が痛い始まりとなったのであった。