特に何の変哲もない、
運動が少し苦手で、
手先が器用で、
押されるのに弱く、
甘いものに目がなくて、
苦いものが苦手で、
「優しい」なんて、当たり障りのない言葉を貰う
そんな、ごく普通の高校生
肉親とは仲が悪い訳ではなく、母子家庭で慎ましく生きている。
父親は狼狽が高校入学時頃に事故での他界。
元から裕福と言うほどでもなく、父が他界してからは母がパートや水商売へと明け暮れ。
自分も、バイトをして恩返ししようとするものの
「自分の好きなことに使いなさい」
と、一蹴されてしまって
とはいえ、使うような友達もおらず、彼女もおらず
家にも誰も、
人はおらず
日々、カフェ巡りなんてことをしていたら……

「こんな、面白いところに来てしまいまして。
日々、やることも無いので入り浸っている、という訳です」

「でも、こんなところにまで来ても『あれ』に付き纏われてしまうとは。
不憫だなぁ……僕って……」
そんな嘆きを、どこかへと呟いて
今日も今日とて
ご来店