* 生きたオモチャたちでいっぱいの オモチャの国。
* ニンゲンはたったふたり
王子さまと
お姫さま。

「……」
* ぬいぐるみを抱きしめて ご機嫌斜めにこそこそしているのがお姫さま。
* どうやら このごろよく国の外へお出かけしている片割れの様子が気になるようでした。

「あっ、お姫さま!
ボク、ちょっと遊びに行ってくるよ。いっしょに行かない?」
* 王子さまが外へ行くのはよくあること。
* 最初こそ それに興味のカケラもなかったけれど……。
* 楽しそうに話すものだから やっぱり自分も気になるし やきもちも少し。
* 一緒に遊びたい気持ちが なおのこと駆り立てます。

「……お外はいかないよ。
ヒトがいっぱいいるんでしょ」

「そうだけど…… 手つないでたら大丈夫だって。
ねっ、お姫さま。パフェもあるよ」

「パフェ……」
* 大好きな片割れといっしょに大好物が食べられる。 ……ちょっといいかも。
* それに 外はとっても楽しそうで 魅力的。
* そんな考えが思い浮かびますが。

「!」

「パフェはだめ! クッキーもチョコも、ホットミルクもだめ!
るーはいかない、いかないったら!
おやつの時間には帰ってきてよねっ」
* ちょっぴり人見知りなお姫さまは 知らないヒトを思うとどうにも恥ずかしくて。
* 今日も 自分の部屋へ逃げて行ってしまうのでした。

「あぁっ……
あとでジンジャーブレッドたちにお菓子をもらわなくちゃ」