眼前に広がる赤を見つめる。
散らばった黒髪がひたり、ひたりと染まっていく。
「……、けっ、きょく」
何もなかった、この手には。
折れ曲がった腕を見つめる瞳はかすんで、
たった17年の人生と呼ばれた時間の終わりを指し示した。
少女は小さな世界を呪った。
故に、死を自らが望んだものだと認識した。
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『――続いてのニュースです。
東京都○○区で女子生徒が転落死した事故について、
学校はいじめがあったことを認め、事故についても
他の生徒が足を引っかけ、背中を押したものだと発表しました。
この件を受けて警察は――――』
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「認めるまでこの仕事は終わらないよ。
君が悪意によって殺されたことを。
そして__
世界はそれだけじゃないことを理解できるまでは」
少女は鎌を振るい続ける。
役割をいつか終えるその日まで。